東京高等裁判所 昭和26年(う)2667号 判決
証拠調終了の後検察官は公判において、事実及び法律の適用について意見を陳述しなければならないが、その意見が適確妥当でなければならないことは何等法の要求するところではない。法律の適用について「相当法条を適用して」と述べたに止まるとしても、これを以て意見を述べなかつたものと解する必要はない。殊に法律の適用は、所論も認めるように罰条を中心とするものである以上、当該被告事件がいかなる罰条に該当するものと検察官が考えるかは、すでに起訴状に明示せられているところであり、その後これが追加変更せられない限り、検察官が起訴状記載の罰条を適用すべしとの意見であることはおのずから明らかであるから、証拠調終了の後において検察官が、改めて罰条を明示して法律の適用についての意見を述べなかつたとしても、これを以て被告人の防禦権を害するものとなすことは相当でない。原審の訴訟手続には所論のような違法はなく、論旨は理由がない。